相続税の申告期限に間に合わないときのQ&A
相続税の申告期限に間に合わないと、どうなるのでしょうか?
相続税の申告期限に間に合わない場合は、本来納付すべき相続税(本税)に加えて、無申告加算税や延滞税を納付しなければならなくなります。
無申告加算税は、期限内に申告しなかったことに対して課される税金であり、延滞税は、期限内に納付しなかったことに対して課税される税金です。
無申告加算税はどのくらい課されるのでしょうか?
申告期限に間に合わなかった時点で、少なくとも、本税の5%の無申告加算税が課税されます。
ただし、申告期限から1か月以内に自主的に申告を行い、かつ期限内に申告する意思があったと認められる場合には、無申告加算税が免除されることがあります。
税務調査の事前通知がなされた場合には、無申告加算税は、50万円までは本税の10%、50万円を超えて300万円以下の部分は本税の15%、300万円を超える部分は本税の25%となります。
また、税務調査がなされた場合には、無申告加算税は、50万円までは本税の15%、50万円を超えて300万円以下の部分は本税の20%、300万円を超える部分は本税の30%となります。
なお、無申告加算税の額が5000円未満であるときは、無申告加算税は切り捨てにより課税されないこととなります。
延滞税はどれくらい課されるのでしょうか?
延滞税の税率は、時期によって異なります。
これは、延滞税の税率が、銀行の新規の短期貸出約定平均金利利率によって変動することとなっているからです。
令和8年1月1日から令和8年12月31日までの間については、延滞税の税率は、納期限から2か月後までについては年利2.8%、2か月が過ぎた以降については年利9.1%とされています。
ここでいう納期限とは、申告期限を過ぎてから申告することとなってしまった場合は、期限後申告を行った時点のことをいいます。
つまり、令和8年の申告において、当初の10か月の申告期限が経過し、さらに6か月が経過してから期限後申告を行った場合には、申告期限から8か月が経過するまでは年利2.8%の税率となり、その後は9.1%の税率となります。
参考リンク:国税庁・延滞税の割合
相続税の申告期限までに申告の準備が間に合わない場合は、どうすればよいのでしょうか?
⑴ いったん概算の税額で申告・納付
上で述べたとおり、申告期限までに申告を行うことができなければ無申告加算税が、申告期限までに納付を行うことができなければ延滞税が追加で課税されることとなります。
では、申告期限までに準備が間に合わないときに、無申告加算税や延滞税の課税を避けるためには、どうすればよいのでしょうか。
結論としては、概算でも構わないため申告書を作成・提出し、納付を行うべきであると思います。
例えば、土地については固定資産評価額の1.2倍〜1.3倍、建物については固定資産評価額、有価証券については証券会社作成の取引残高報告書の資産合計額、預金は相続時点の残高の合計額といった形で、概算で評価額を算定すれば、短時間で概算の申告書を作成することができます。
納付についても、いったん概算額で行います。
⑵ その後の対応方法
もっとも、概算の申告書は正確性には欠けているでしょうから、そのままで終わりにしてしまうと、調査選定等の対象になってしまう可能性があります。
このため、後日、きちんと財産調査や財産評価を行った上で、正式な申告書を作成し、提出する必要があります。
正式な申告書で、当初の概算よりも税額が増加したときは、不足額を追加で納付します。
また、相続財産や申告内容を精査した結果、本来より多く相続税を払っていたという可能性もあります。
正式な申告書で税額が減少したときは、差額について更正の請求をし、還付を受けます。
このような方法を用いれば、無申告加算税の発生は避けることができます。
当初の申告書の金額が過少であった場合には、過少申告加算税の対象になる可能性がありますが、早期に自主的に修正申告した場合には、過少申告加算税は課されません。
加えて、この場合の不足額には延滞税も発生しますが、あくまでも差額に対する延滞税ですので、限られた金額に抑えることができると思われます。
このため、いったん概算で申告書を提出・相続税を納付してから、きちんと財産調査や財産評価を行った上で、正式な申告書を早期に提出すれば、ペナルティを0または最小限に抑えることができる可能性があります。
相続税の申告期限に間に合わなくなるケースにはどういったものがありますか?
⑴ 相続税申告の準備に着手するのが遅れたケース
ご家族などが亡くなった後は、葬儀や法要などで慌ただしくなることが多いため、相続税申告の準備に着手することが遅れることがあります。
また、当初は相続財産が基礎控除の範囲に収まっているから相続税申告は不要だと考えていたところ、後から多額の遺産が見つかった結果、相続税申告が必要であることが発覚して、申告の準備に取り掛かるのが遅れることもあります。
そのため、相続発生後は早い段階で一度税理士に相談して、相続税申告が必要かどうか、どういう準備が必要なのかを確認されることをおすすめします。
⑵ 書類の収集や申告書の作成が間に合わなくなるケース
相続税申告のためには、被相続人・相続人の戸籍や預貯金・有価証券の残高証明書、固定資産税評価証明書など、相続人や相続財産などに関する様々な必要書類を漏れなく収集した上で、財産の評価を行い、申告書を作成する必要があります。
役所や銀行、証券会社などから必要書類を取り寄せるには、想定よりも多くの時間を要することがあります。
必要書類の収集が間に合わず、結果として申告書を作成することができなかったというケースもあります。
必要書類の収集や申告書の作成について、早めに税理士に依頼すれば、期限までに相続税の申告と納付を行うことができるかと思います。
⑶ 遺産分割協議が相続税の申告期限までに終わらないケース
相続税の申告を行うにあたっては、遺言書または遺産分割協議書が必要となります。
遺産分割協議書を作成する場合、相続人全員で遺産の分け方について話合い、合意することが必要です。
ただ、相続人の間で遺産の分け方について意見の相違がある場合などでは、相続税の申告期限までに遺産分割協議が終わらないケースがあります。
遺産分割が終わっていないからといって、相続税の申告期限が延長されることはなく、申告をしないでいると無申告加算税などのペナルティを課されるおそれがあります。
そのため、一旦は申告期限までに法定相続分に従って財産を取得したものとして、相続税申告を行います。
参考リンク:国税庁・相続財産が分割されていないときの申告
未分割の状態で申告した場合、相続税の特例や控除を適用することができないため、過大な税額を支払うことになりますが、申告自体は済ませることができます。
また、当初の申告の際に「3年以内の分割見込書」を提出することで、遺産分割が終わった後、更正の請求を行い、改めて特例や控除を適用して申告をすることで、払い過ぎた相続税の還付を受けることができるケースもあります。
遺産分割が終わらず、相続税申告ができないとお悩みの方は、税理士にご相談ください。
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