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準確定申告について

  • 文責:代表 税理士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年6月23日

1 確定申告と準確定申告の違い

毎年1月1日から12月31日までの間に発生した所得については、所得税が課税されます。

所得税について、一定の場合には、翌年の2月15日から3月15日までの間に、確定申告を行う必要があります。

また、確定申告を行う必要がない場合であっても、確定申告を行うことにより源泉徴収分の還付を受けることができることがあるため、確定申告を行った方が良い場合があります。

確定申告の結果、追加で所得税が発生した場合は、所得税の納付を行う必要がありますし、所得税額が源泉徴収額を下回ることとなった場合には、所得税の還付がなされることとなります。

ところで、被相続人が年の途中で亡くなった場合を考えてみたいと思います。

この場合、亡くなった前年の所得(前年の1月1日から12月31日までの間に発生した所得)については、亡くなった年の2月15日から3月15日までの間に確定申告がなされることとなりますが、亡くなった年の所得(亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの間に発生した所得)については、相続人が、被相続人が亡くなったことを知ってから4か月以内に、申告を行うこととなります。

このように、被相続人が亡くなった年の所得について、相続人が行う申告を、準確定申告といいます。

準確定申告についても、一定の場合には、相続人が行わなければならないこととなっています。

また、準確定申告を行わなくても良い場合であっても、準確定申告を行うことにより源泉徴収分の還付を受けることができるため、準確定申告を行った方が有利である場合があります。

2 準確定申告の手続き

準確定申告は、管轄税務署に準確定申告書を提出することにより行います。

管轄税務署は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署です。

相続人の住所地を管轄する税務署ではありませんので、注意が必要です。

相続人が複数いる場合には、準確定申告書の付表に、相続人全員が連署して、共同で準確定申告書を提出します。

相続人全員が連署して共同で準確定申告書を提出することができない場合には、各相続人が、他の相続人の名前を付記して、別々に準確定申告書を提出することもできますが、この場合には、申告内容を他の相続人に通知しなければならないこととなっています。

準確定申告書の提出方法は、確定申告書と同じく、税務署の窓口に提出しに行く方法、郵送で提出する方法、e-Taxで提出する方法があります。

3 準確定申告の期間

準確定申告の期間は、被相続人が亡くなったことを知ってから4か月間です。

4か月の期間内に準確定申告を行わなかったとすると、本来の所得税とは別に、無申告加算税がペナルティとして課されることとなります。

他方、準確定申告の結果、源泉徴収分の還付を受けることができる場合は、4か月の期間が経過した後に準確定申告を行ったとしても、特にペナルティがあるわけではありません。

このように、準確定申告の結果、所得税を納付しなければならなくなる場合は、4か月の申告期限を意識して、準備を行う必要があります。

4 準確定申告時の計算方法

準確定申告時の所得税の計算方法は、通常の所得税とほぼ同じです。

被相続人が亡くなるまでに発生した所得を計算し、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除による減額調整を行い、課税される所得税を計算することとなります。

ここでは、通常の所得税とは異なる注意点を説明したいと思います。

医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除の対象になるのは、1月1日から被相続人が亡くなるまでの間に支払が完了しているものになります。

被相続人が亡くなった後、相続人が引き継いで支払った医療費、保険料については、準確定申告での控除の対象になりません。

なお、医療費が保険等で填補された場合には、填補された金額については医療費控除の対象になりませんが、この場合も、生前に填補がなされたもの(支払を受けたもの)のみが準確定申告で考慮されることとなります。

配偶者控除、扶養控除についても、被相続人が亡くなった時点の状況で判断されます。

被相続人が亡くなった時点で、被相続人に配偶者や扶養親族がいる場合には、配偶者控除や扶養控除の適用を受けることができます。

このように、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除を用いることができる場合には、源泉徴収分が実際の所得税額を上回ってしまうことがあります。

このような場合には、準確定申告を行うことにより、差額分の所得税の還付を受けることができます。

5 準確定申告を行う必要がある場合

最後に、準確定申告を行う必要がある場合について説明したいと思います。

おおむね、以下の場合には、準確定申告を行う必要があることとなります。

・ 不動産所得がある場合

・ 事業所得がある場合

・ 2000万円を超える給与収入がある場合、複数の給与収入がある場合

・ 400万円を超える公的年金収入がある

・ 副収入の所得が20万円を超える場合

相続税申告では、多くの場合が、上記には該当せず、準確定申告が不要となります。

もっとも、準確定申告が不要であっても、源泉徴収分の還付を受けることができるため、準確定申告を行った方が有利である場合もあります。

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